Internship in Europe  ページ一覧  検索  更新履歴  RSS  ログイン

総括

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この一年の経験をレポートとしてまとめたものを載せました。


ベルギー・BCRC(ベルギー王立セラミック研究所)研修
伊藤 佳那子

2006年度ヴルカヌスインヨーロッパに参加し、20名の学生と共に一年間の研修を行なった。4ヶ月間の語学研修は、企業研修実施国の語学を習得することになるため、フランス・アンボワーズでフランス語習得のための研修を行なった。その後、8ヶ月間ベルギー・モンスにあるベルギー王立セラミック研究所において企業研修を行なった。渡航するにあたり、専門知識をより深く構築すること、欧州と日本の文化の架け橋をすること、フランス語を習得すること、この3つを目標に掲げた。

アンボワーズでの語学研修は、ホストファミリーと一緒に過ごすことで現地の家庭の雰囲気を十分に感じることが出来る場であった。私にとって、フランス語は始めて習う言語だったが、家族や語学学校のサポート、学校で出会った友達などのサポートによって、研修終了時には、会話には支障が無い程度までの言語力を習得することが出来た。簡単な会話が出来るようになってからは、フランスの文化や教育制度、宗教などを教えてもらい日本との違いを話し合う場を持てた事、自分でも日本の各制度について考える時間を設けることが出来たとこも大きな意味を持った。フランスだけではなく、他国の留学生ともこのような話をし、各国の問題点について意見を交わすことで、一つしかなかった考え方が幾つもの思考が開けたように視野が広がったと感じた。特に、様々な国の留学生と交流を持つ機会が得られたことは、私にとって刺激的だった。日本語は、他の言語に比べてフランス語とはかけ離れており、私たちがフランス語の習得に要する時間は他国の留学生よりもはるかに時間がかかる。しかし、仲間からの刺激を受けながら勉強出来たことも、語学向上に大きく影響した。また、文化の違いだけではなく、言語や島国と大陸の違いについても考えさせれる機会を得た。日本は独特な国かも知れないが、小さな島国であるにも係わらず、経済面や特に日本の企業を通じて世界に大きな影響を与えていることを実感した。最終的には、実用レベルのフランス語を習得できたと共に、このような環境の中で語学習得以外にも得るものが大きかったと思う。

8月から、ベルギー・モンスにあるセラミック研究所での研修が始まった。私はインクジェットプリンタを利用したセラミック3D修飾を研究している部門の一員として配属された。研修開始3週間はセラミックインクの調整および印刷試験のための研究に備え、英語、日本語の論文だけではなく、フランス語の論文を読み、研究者と話し合うことで知識を深めた。その後、測定・評価を行なうにあたり、実験装置の使用方法のみではなく、原理や解析法まで詳しく教えていただき、研修2ヶ月目には、自分で実験を展開していくことが出来た。一方で、会社の研究者、技官の方々と良いコミュニケーションを構築することで、国籍、言語に捕らわれず信頼できる仲間が出来た。私の研修は、大学での研究と同じ分野であり、その中でも測定法や分析法など私が持っていた知識以上のものを習得できる機会でもあり、世界で注目されている技術やその技術を企業ではどのように展開していくのかということも間近で拝見したことで、将来どのような道に進むべきかを深く考えるきっかけにつながった。中でも、特に興味を持ち、自分の将来について考えるきっかけになったことは、「女性」という立場で仕事をしていくといことだ。研修先の研究所をはじめ、ヨーロッパでは女性の活躍する場が日本より多いということが伺える。研究面で男性と同じ立場で活躍し、家庭では妻として母としての役割をする女性の方々を多く見かけた。もちろん、日本の企業でも段々と女性が働きやすいシステムが整ってきているが、まだヨーロッパのように仕事と家庭の両立に対する理解は少ないように思える。私は、このような女性を見ることで、彼女達のように女性の研究者として男性と同等に責任のある仕事を担い、家庭との両立を見事にこなす研究者になりたい、この一つの目標が明確となった。 また、フランス・バレンシエンヌ大学、ベルギー・モンス工科大学の訪問によって、セラミック分野における幅広い研究について教えていただく機会を得ることができたこと、さらにNGK Ceramics Europeの工場見学は、日本企業が海外の市場に与える役割、駐在員の方々の心構えなど、研修先以外でも多くの知識と知見を身に付ける機会があったことは、将来おける私の糧となると強く実感した。

モンスでの生活は、その国の文化や国民性、情勢などを知るのには十分であった。ワロン州とフランドル州の異なる2つの言語と文化が入り混じり、首都ブリュッセルではオランダ語、フランス語が共に公用語とされ、欧州連合(EU)本部とその機関である欧州委員会と欧州理事会、北大西洋条約機構(NATO)本部と西ヨーロッパ連合(WEU)の本部もある。このような複雑な環境でもEU本部などの中心地として重要な役割を果たし、国全体がまとまっていることを認識した。同じ国で多文化、多言語が存すると言う点は、ヨーロッパ全体を現しているかのようでとても興味を持ち、どちらの地方もお互いを尊重し合い認め合っているように感じた。ヨーロッパ全体の言語・文化・宗教などの違いについて、ベルギーという国で暮したことで、より意識をして考えることが出来たと思う。
この一年の研修は、様々な知識や視野を拡げるだけではなく、ヨーロッパの文化を受け入れることや、日本という国を客観的見て考える機会を得られたことは、自分の将来を大きくシフトするものになった。企業研修では、専門知識の習得はもちろんのこと、将来化学分野の研究者として、女性としてどのように活躍していきたいか、将来像が明確になった。この研修で、世界の人との良いコミュニケーションが構築でき、信頼性を持てた事は何よりも自分の自信に繋がり、自分の属する集団の中でどのように貢献していくかということを考えるようになった。

この研修の経験を今後生かしていけるよう、世界と日本との発展の一助を担うことが今後の目標である。
この研修を遂行するにあたり、多大なご支援してくださったヴルカヌスプログラムのスタッフの方々をはじめ、受け入れ研修先BCRC、一緒に研修をしてきた19人の仲間達、応援してくれた方々、支えてくれた家族に深く感謝致します。

更新日時:2007/04/13 22:46:09
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